新潟で家具の補修・修理・塗り直し・再生などを手掛ける「愛着工房いしかわ」の孤軍奮闘ブログ

新潟県阿賀野市にて、ひとりで家具や住宅内部木部の補修などをやってます。オリジナルダイニングテーブルなど家具も製作してます。

JBLのすごいスピーカー補修しました

昔、喫茶店をやっていた頃は、けっこういいオーディオで

ジャズやボサノバなどを鳴らしていまして、

お客さんの中にもオーディオマニアな方々がたくさんいらっしゃいました。

僕のオーディオに関する知識は、その時に得たものです。

僕はオーディオマニアになるお金もなく、ただひたすらいい音楽を求めていました。

 

そして、つい最近、某所からスピーカーのボックスを綺麗にできるか?

という問い合わせが来ました。

スピーカーボックスは以前にも補修したことがあるので、

たぶん大丈夫と答えたのですが、実物を見ると、、

JBLのパラゴンじゃないですか!!

あ、いや、ちょっと違う。聞けば、パラゴンより気持ち小さい

JBLのメトロゴンと言うらしい。1950年代の素晴らしいスピーカーです。

 

このスピーカーの天板に染みやら傷やらついている上に、なんだか色も褪せている。

そのへんを綺麗にしてください、と言うことで、正式に依頼が来た次第です。

 

それにしてもアメリカさんが作ったとは思えない(失礼)素晴らしい造り。

今でも完全に他を圧倒するデザインと存在感です。

 

さっそく仕事にとりかかります。

現状は、天板がかなり傷んでいます。突き板ですので、手荒くは削れません。

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変色しているところは、パテが入ってました。一度修理されたと思われます。

 

そして、注意深く、ここまで塗装と木地を削りました。

アメリカの家具はだいたいラッカーが塗ってあります。

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正直、ここまでするのにそうとう手間かかります。

 

そして、染色、下塗り、中塗り、カラーリング、仕上げ。艶も正面に合わせます。

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正面や側面の傷は、タッチアップ程度の補修ですが、ほとんど目立たなくなりました。

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かなり神経も使ったし、面倒な仕事でしたが、お客様に感動されるほど喜んでいただき、職人冥利につきる仕事でした。

ちなみに、このタイプのJBLスピーカーを作る職人はもういません。最後の職人は日系アメリカ人だったらしいです。納得です。