嫁入り道具

今回の依頼は、桐ダンスと鏡台の補修。

見積もりがてらにお宅に伺ってお話を聞くと、
娘さんがこの度目出度く嫁ぐにあたり、おばあちゃんの嫁入り道具であった
桐ダンスと鏡台を直して持っていきたいと。

いろいろネットで直してくれる所を探したけれど、
直した後は、古い面影がなく、どうもしっくりこない感じで、
時代を経てきた良さが無くなってしまうと。

まさに、愛着工房いしかわにぴったりな仕事です。

桐ダンスを専門にしているところは、
直しとはすなわち新品状態に戻すことなんですね。
それはそれで素晴らしいことだとは思いますが、
僕は好きではないし、僕と同じ気持ちの人も多いのではないかと思います。
古いものの良さや雰囲気を残しつつ綺麗にし、
かつ、現代の暮らし方にマッチするようにする、というのが僕のポリシーです。

今回は壊れている所を直し、依頼人の好みの色合いになるように仕上げ。
金具も新しいものをつけた個所もありますが、
わざわざ古く見えるように手間をかけてあります。

鏡台の金具は補修後、手持ちの古い金具を付けてあげました。
鏡台の後ろに写っているものは衣桁です。えもんかけですね。
これも依頼人さんのものを直す予定だったのですが、
虫食い等の傷みがはげしく、補修が難しい状況だったので、
手持ちの衣桁を補修してサービスしてあげました。

こういう風に自分の嫁入り道具を用意する花嫁さんは素敵です。
きっと、いいお嫁さんになることでしょう。

ありがとうございました。
そして、お幸せに！